恐怖の雪の峠道・山の中の秘湯と、希代の超能力者!! 山形 2
>>山形・秋田旅1から続き>>
南岳寺の「長南年恵堂」
長南年恵堂は外にあります。
勝手に開けて中を見ていいそうで、田舎の人は心が広いと思う。
ドラマ「トリック」の冒頭でサクっと語られていた、明治の超能力者・長南年恵は、庄内藩士の娘として生まれました。
元々小食だったが、20歳のころから無食となり、トイレにも行かなかったとか…
彼女の身辺には頻繁に神仏が現れ、音楽が聞こえたとか、テレポーテーションしたとか…
食べなかったのに力持ちで、男子と腕相撲していつも勝ち、一升瓶15本分もある水の入った大樽を軽々と運んだとか…
何もないところから、「神水」を出して病人達にあげたり…
そんな「怪しげな」行為が、地元の警官に目をつけられ、最終的に、裁判にかけられる。
拘留中も飲まず食わず、看守に「虫が多いから蚊取り線香持ってこよう」と言われてもいらないと言い、完全に外部と遮断された監房内で、「神水」「お守り」「経文」「散薬」を空気中から取り出したとか諸々。
そして、最高裁判所で何もないところから「神水」を出し、その能力を認められ、「無罪」となったという、「日本史上初の超能力裁判」だったのです。
ちなみにその水は、判事が持ち帰ったらしい。
南岳寺は、昭和の鶴岡市の大火で一旦燃えたそうですが、「本尊」と「即身仏」、「長南年恵堂」のみ無事だったというのも、奇跡として語られているのでした。
庄内恐るべし。
「鶴岡カトリック教会」
お次ぎは「鶴岡カトリック教会」へ。お隣には「マリア幼稚園」があります。
来てみたら、結構私はグッと来てしまい。
内も外も、建物の美しさ、素晴らしさもそうなんだけど…
懺悔室。
海外ドラマではよくあるけど、実物見たのは初めてかも。
美しいですね。
中央のキリスト像の祭壇を見たら、
とても神々しく感じられグッと来てしまいました。
隣には、フランスからやって来た「黒い聖母マリア像」があります。
フランスのどこぞの教会から来たというので、こちらが有名。
小さいながらも素晴らしい建築の教会。
聖書の1文が書いてある「おみくじ」みたいなものもありました。
こんなほっ建て小屋にもマリア様が。
これぞまさしく「和洋折衷」ですね。
渋くてイイです。
「天主堂」
せっかく鶴岡市に来たんだから、見たいスポットは他にもあったけど、ここでもうタイムリミット、小林温泉へ向かわないと。
意外に濃かった鶴岡市。
「即身仏」や「稀代の超能力者」がいらっしゃったり。
山形は神秘のミステリー・スポット。
そしてあまり知られてないっぽい修行の山「金峰山」と「金峰神社」。
それから重要文化財のカトリック教会「天主堂」。
(あと、だだちゃ豆)
軽く考えてたのに、濃くて充実した1日でした。
(しかしまだ終わらなかった。最後の試練が)
ほど近い、「道の駅 庄内みかわ」に寄って、農産物直売所「マイデル」でキャベツなどを買う。
庄内特産「だだちゃ豆」を買うはずだったのに…
一路、「小林温泉」へ。
赤が栄える橋だったので。
除雪車は、作業終わってお帰りでしょうか。
小林温泉は山間部で、ちょっと山へ入るのですが…
実は地図を見て、少し不安でした。
地図では道が少しクネっていたので、「これ、峠道だろうなぁ」と思って。
積雪量の多い山形、普通の道なら除雪されてるけど、峠道となると雪状況が分からず…
しかも今回の車は、半月前に友人から頂いた、乗り馴れていないオートマ車「ファンカーゴ」。
私が前に乗ってたのは、後輪駆動の180SXですが、マニュアル車の方が微妙な加減できるし、まあパワーはある車なので、最悪チェーンつければ走れるし。
それで豪雪地帯の新潟・魚沼地方や、秋田地方、標高980mの冬の信州長野の高山村「松川渓谷温泉」の、凍結した山道など走っていました。
しかし今回の「ファンカーゴ」は、「チェーンを買っておらず」、「スタッドレスタイヤも「おさがりで、結構すり減っていた」し、平地の駐車場に止めていても、ちょっとした雪で、キュルキュルいって動かなかったので、ちょっと不安…
10年前も来たけれど、どんな道だったか忘れてて、宿の人も何も言わなかったから、大丈夫だろうと、こっちの近い方から来たけど。
案の定、道が細くなって人気のない山の中へ。やはり峠道。
そしてやっぱりヤバかった。
結構ヤバかった。
対向車とすれ違う余裕もない狭いクネった道で、登りなんか、もう滑って滑って。
アクセル踏みすぎても、踏まなすぎてもダメ、右に左にと滑りながらやっとこ登ってた状態で、これは無理かも登れないかも、動かなくなったらアウトだなと何度も思いました。
対向車来たら完全にアウト!!
多分どっちの車もどうにもできない。
なのに…
対向車が来てしまって真っ青。
唯一ラッキーだったのは、対向車が降りてきたのが、かろうじてすれ違える道幅があった場所だったってこと。
こちらは登りなので止まりたくないけど、こっちが止まって、下って来た対向車を先に行かせなければ、すれ違えない。
で、ギリですれ違えたのはいいけど、案の定、一旦停止して発進したら、スリップして動かない。
少しバックしてはアクセル踏み、少しバックしてはちょっと勢いつけて、かなりスリップしながら、それでも何とか動いてくれたファンカーゴ。
写真は少し楽な道になった道です。
1台だけで、あとは対向車が来なくてホント良かった。
登り坂を終えると、今度は下りが続き、
そこの道幅は、対向車が来たら絶対すれ違えない感じだったので、
登りだったけど、あそこですれ違ったのはラッキーでした。
雪道は下りの方が何とかなるわけで、ここらは登りほどの緊張感はありませんでした。
峠抜けるまでは、気を抜けないけど。
峠の一番の高所(多分)で、眼下に景色が広がり眺めは良かったけど、そんな感動を味わう余裕はありません。
逆からだったら来たら、登れない道でした。
何とか峠道を脱して、平地の道に。
ホっと一息。
細い道だったが、民家がチラホラと。
ナビがここらだと言ってるところで探したら、
小林温泉の看板を見つけて、少しバック。
到着。
10年ぶりぐらいの小林温泉。
小林温泉の管理人さんに峠の雪道が怖かったと言ったら、「あっちから来たの?」「さっき除雪したばかりだから良かったね」と言われました。
あれでもラッキーだったんですね。
除雪してなかったら来れなかったかも。
まずはお風呂です↓
硫黄臭の香る、ちょいヌルっとしたお湯です。
やっぱり源泉かけ流しの温泉は気持ちいい!!
小林温泉は「冷鉱泉」だけど、かけ流しで入れるのが凄いのです。
普通冷鉱泉は、循環の沸し湯だから。
左に源泉の蛇口があり、右が加水して沸かした源泉。
それも「自分で調節して入っていいから」と。
もちろん冷たい源泉を投入。
すぐぬるくなって、Mは寒いと言ってましたが。
冬場の温まりとしては弱いけど、ゆっくり浸かれて最高です。
自分で加減できるし。
コップが置いてあるので飲泉もオケ。
「源泉を汲んで持ち帰っていいからね!」とも言われた。
なんて気前良く、親切なんだろう。
持ち帰り禁止、1本いくら、なんてトコも多いのに。
(特に冷鉱泉)
戻ったら、隣の部屋に食事が用意されてました。
前は素泊りだったけど、今回は食事付きに。
2食付き5800円だったので。
私たちは肉を食べないので、肉は抜いてもらいました。
(本当は魚も食べないんですが)
小林温泉は、運営が酒田市となっていて、
地元の人達が管理してるのかなぁ?
おかみさんの山菜解説によると、
春に採った山菜を塩漬けしてた「イタドリの和え物」、
(ここらの方言では「どんごえ?」と言うそう)
「ナメコの味噌汁」は、長ネギと豆腐に、大根おろし入りで美味しかった。
うちでも作ろうと思った。
「春菊の胡麻和え」「油揚、わらび、コンニャクの炒め物・煮物」
「おでん」、肉の代わりに「天ぷら」と「ほっけ」。
イタドリの実物は見たことないと言うと、イタドリが載ってる「山菜図鑑」を持って来て説明してくれたオカミサン。
オカミサンのの面白い話では、
「二輪草は2つ花が生えてれば食べられるけど、1つだと毒」
とのこと。不思議だ。
『採って来る人も知ってる人だから、毒草と間違うことはないけど、
採って来た山菜は全部、私ががチェックしてる』
さすが、山菜マスター。
お客さんに「普段目にしないような、珍しい物」を出したいんだそう。
山菜キノコ図鑑を見ながら、料理研究してると言ってた。
クリエイティブだ。
「見てていいから」とオカミサンは本を置いてったので、せっかくだからと『キノコ山菜図鑑』を眺めながら食べてたら、「行者ニンニクの花」を見て、あれ?と思った。
それは子供の頃の記憶。
私が祖母宅に預けられ、祖母と住んでいた頃、小1ぐらいだっただろうか。
ど田舎だったので、毎日リヤカーを引っ張って物を売りに来る、「やいちゃん」(やえちゃんかもしれない。祖母がそう呼んでた)という5、60代ぐらいの物売りの人がいた。
長い道のりを、坂道を登り下り、毎日リヤカー引いて行商してたのだ。
ちょうど午後2時ぐらいに家の前を通り、祖母は毎日「やいちゃん」を呼び止め、魚とかワカメなどを買ってた。
ある日、私は小学校の帰り道に、珍しい花を見つけてソッコー採った。
その瞬間、ニンニクみたいな強烈な匂いが漂い、私は『もしかして毒花?!』と、一気に恐怖に襲われた。
『死んだらどうしよう?!』
『この花を持ち続けていたら死ぬ!!』
と、子供の豊かな想像力で。
恐怖のピーク時、ちょうど祖母宅方面から来た「やいちゃん」と遭遇。
私は即座に「やいちゃん」に話しかけ、「やいちゃん」も「Sちゃん(私)、今帰り?」みたいな。
そして私は「この花あげる」と、やいちゃんに花をあげたのだ。
『毒花』をやいちゃんにあげれば、私はもう安全…
やいちゃんは単なる「子供の無邪気な親切心」と思っただろう。
(私は子供の頃、そんな親切心はカケラもありませんでした)
その話をしたら、Mに「ひでー」と言われた。
自分が毒かもしれないと怖くなった花をあげるなんて、と。
古い友人にも、「あんたは自分の身が危なくなったら、人を盾にして逃げるタイプだよね」と、昔言われたけど、否定出来ません。
それに子供は人のことなんて考えちゃいない。
子供は白くてピュアなわけじゃない。
毒だったら誰かにあげてしまえみたいな身勝手さ。
まあそれにやいちゃんは「大人だから大丈夫だろう」みたいな。
とにかく。
強烈な匂いを放つ、その怖い「推定毒花」を、
やいちゃんに押し付けてその話は終わったのだが、あの花は何だったんだろうと、その後も時々思い出しては、疑問に思ってた。
そしてその花が、今この図鑑で見ている「行者ニンニク」の花に似てるんだけど…
匂いも「ニンニク臭い」って書いてある。
それなら説明がつく。花を取ったときの、あの強烈な匂い。
今、あのときのナゾが解明されたのか。
唯一の疑問は、行者ニンニクが生えてるのは深い山とか崖とかだってこと。
小川の土手に生えてたからなぁ。
確かに山に沿った道ではあったけど。
片側が山で、片側は小川が流れ、田んぼという道。
図鑑見てたら「ノビル」の花も似てるけど、今となっては。
で、今ここ小林温泉で、その花の正体は、行者ニンニク(またはノビル)であっただろうと、判明したと。
40年ぐらい経っての疑問解決。
まさかここで解決するとは。
未解決な子供の頃の疑問が、私には多々あるのだ。
一生分からないんじゃないか、というモノもある。
Mに、「絶対食べないでね、Sちゃん(私)は山で実を見つけるとすぐ口に入れるから」と言われた、ドクウツギ↓
ドクウツギ、なまじっか甘いだけに、『子供の悲しい中毒死が…』と書かれてる。
(今時の子は、田舎の子でも食べないんじゃないか?)
私が食べるのは赤い実だけです。
が、一応覚えておこう。
おかみさんが置いてった「きのこ・山菜図鑑」意外に面白い。
Mは「役に立ちそうだから買ったらいいんじゃない?」と。
うん、欲しいかも…
私は、ラッキーなことに「ホンモノ田舎暮らし」が、
まだ息づいてた時代・地域に預けられ、
(同世代の人もほとんど知らない。私が親元に戻されたと同時に、
築百年の家も立て替えられたから、私の世代でギリだった)
とんでもない田舎っ子でありながら、目新しいモノ大好きで、
ガラの悪い(M曰く)都会っ子文化も好き(欧米の)な、
両極端な人間です。
「産直あぐり」で買った「つや姫」米粉使用、
ラ・フランスのデニッシュ。
つや姫ブランド。
>>続く。次は秋田・鳥海山へ向かいます。>>